アラン・コルバン

感性の歴史という新領野を拓いた新しい歴史家アラン・コルバン(Alain CORBIN、1936-)
1936年フランスのオルヌ県に生まれる。カーン大学卒業後、歴史の教授資格取得(1959年)。リモージュのリセで教えた後、トゥールのフランソワ・ラブレー大学教授として現代史を担当(1972-1986)。1987年よりパリ第一(パンテオン=ソルボンヌ)大学教授として、モーリス・アギュロンの跡を継いで19世紀史の講座を担当。

「においの歴史」「娼婦の歴史」など、従来の歴史学では考えられなかった対象をみいだして打ち立てられた「感性の歴史学」。さらに、いっさいの記録を残さなかった人間の歴史を書くことはできるのかという、逆説的な歴史記述への挑戦をとおして、既存の歴史学に根本的な問題提起をなす、全く新しい歴史家。
「過去の人びとを知るには彼らのまなざしで眺め、彼らの感情を追体験する以外に方法はないのです」と語るいっぽうで、「歴史の対象を探究し発見することは、詩的な手法に属します」とも語る。徹底した史料批判の精神と飛翔する想像力の矛盾なき総合。