森崎和江

朝鮮、炭坑、性とエロス……真正面から向き合う詩人森崎和江(もりさき かずえ 1927-2022)
1927年朝鮮大邱に生まれる。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、47年、福岡県立女専を卒業。50年、詩誌『母音』同人となる。58年、筑豊の炭坑町に転居し、谷川雁、上野英信らとサークル交流誌『サークル村』を創刊(~60年)。59~61年、女性交流誌『無名通信』を刊行。
詩集に『ささ笛ひとつ』(思潮社)『地球の祈り』(深夜叢書社)など、その他『まっくら』(理論社)『第三の性』(三一書房)『奈落の神々――炭坑労働精神史』(大和書房)『からゆきさん』(朝日新聞社)『慶州は母の呼び声』(新潮社)『いのち、響きあう』『愛することは待つことよ』『草の上の舞踏』(藤原書店)『語りべの海』(岩波書店)など多数の著書がある。植民地時代の朝鮮に生を享け、戦後、炭坑の生活に深く関わり、性とエロス、女たちの苦しみに真正面から向き合い、日本中を漂泊して“ふるさと”を探し続けた詩人。「昭和期を生きた植民二世の私には、戦後の方言界は迷路。女は商品でした。早稲田在学中の弟が自死。闇に閉ざされた私は、幼いいのちに教えられ、炭坑の地下労働者に学びつつ、列島各地の集落で働く人々に接しながら七ころび八起きで、生きることとは何かを自問し、日本の女へと生き直すべく努めました」(森崎和江)