最新情報

お知らせ

映画『花の億土へ』上映情報


映画『花の億土へ』
出演:石牟礼道子(いしむれ・みちこ)
監督・構成・撮影・編集・音楽:金大偉(きん・たいい)
ナレーション:米山実
音楽ゲスト:大倉正之助/原郷界山
写真提供:桑原史成
プロデューサー:藤原良雄
制作:藤原書店
2013年度作品/113分/ハイビジョン/16:9



【本作品について】
20140299ishimure_denkikan.jpg
未来はあるかどうかはわからないけれども、希望ならばある。
文明の解体と創世期が、いま生まれつつある瞬間ではないか。

文明化する日本社会の中で起きた水俣水銀中毒事件をモチーフに、「近代とは何か」を現代人に突きつけた名著『苦海浄土』。
本映像作品は、その作者として知られる石牟礼道子さんに、来るべき世について語っていただいた最後のメッセージである。
この数年われわれは、不知火海の地に住む石牟礼さんを幾度も訪ねた。
今パーキンソン病に苦悶しつつ日々を送っておられる石牟礼さんから、文学とは何か、詩とは何か、新作能の新たな構想、最後に文明社会のゆくえなどを語っていただいた。
その中で石牟礼さんは「祈り」や「犠牲」という、われわれ現代人が失くしてきた言葉を強調された。
映像は、水俣・天草・不知火海はいうまでもなく、60年代の水俣漁村の風景も用い、それに金大偉の独創的な音楽を加えた。
2011.3.11の東日本大震災もこの作品の中で描かれている。
水俣や福島で起きた事件について、石牟礼道子はわれわれにいかなる言葉を伝えようとするのか。


【監督より】
原郷の色彩と光から発せられる鎮魂映像詩として
21世紀になった今も、世界では紛争・テロや様々な混乱および環境破壊などが続いている。こうした中、石牟礼道子の世界を映像化することによって、一連の強い問題提起をなすことができる。本作品では、その文学世界の広がりや歴史性、美学性、宗教性、そして「文明の毒」としての公害である「水俣病事件」の意味などを深々と掘り下げることをテーマとする。作中では、石牟礼氏への多元的なインタビューや作品の語りを多用。また不知火海の四季の風景やイメージ映像による構成は、詩人・作家である彼女の最終メッセージであると同時に、「幻想的リアリズム」としてのドキュメント映像詩でもある。
本作は現在、また近い将来、人々が自然との共生において最も必要とする、石牟礼世界から発せられる深い啓示を明かす新しい映像表現と捉えることも可能である。鎮魂の世界の深層から呼び起される不知火海――そこに浮かび上がる「あの世」と「この世」の時空、過去・現在・未来の時空、さらに「光」が循環する姿。そこに夢と希望が秘められている。
私はこの制作を通じて、自分の内面に向かって、あるいは魂へ向かって旅をするような感覚を体験した。何か重いものを背負っているように感じると同時に、進む方向には仄かな光があるかのように見える。すべての生き物が共生できるように、人々は夢と希望を持って、他者への祈りや祝福をしなければならない。これは純粋な初心に還ることでもある。希望はまだ精神の火のように灯されており、それが消えない限り、人々は共生の循環のなかに居続けることができるであろう。
監督・金大偉


【上映情報】
■ シアター上映・自主上映のご依頼、随時受け付けております。
 こちらよりご連絡、お問い合わせください。
■ 新しい上映情報は、随時更新いたします。
 ・2013年11月25日
  新宿区立新宿文化センター 小ホール(完成披露上映会)
 ・2014年2月22日~3月7日
  熊本市・Denkikan(シアター上映)
 ・2014年3月26日
  神奈川県秦野市・「手打ち蕎麦くりはら」(自主上映)
 ・2014年6月28日~7月11日
  渋谷UPLINK(シアター上映)
 ・2014年7月21日
  文京シビックセンター 小ホール
  (『石牟礼道子全集・不知火』完結記念シンポジウム)
 ・2014年7月26日~8月8日
  名古屋市・シネマスコーレ(シアター上映)
 ・2014年7月26日~8月8日
  大阪市淀川区十三・シアターセブン(シアター上映)
 ・2014年8月3日
  長野県大町市・信濃の国 原始感覚美術祭2014(自主上映)
 ・2014年12月19日
  渋谷区表参道・游龍の館 EX・LOUNGEで上映(自主上映)
 ・2015年1月17日~2月6日 連日10:20より上映
  ポレポレ東中野で上映予定(シアター上映)
 ・2015年1月22日 福岡KBCシネマで1日限定上映予定(シアター上映)
 ・2015年2月14日 富山県民共生センター(サンフォルテ)303で上映予定(自主上映)

 ・2015年3月10日~3月11日 練馬区・第4回江古田映画祭で上映予定(映画祭)

 ・2015年4月25日 千葉市美浜区・cafeどんぐりの木で上映予定(自主上映)
  【監督トーク予定あり】


【石牟礼道子とは】
1927年、熊本県天草郡に生れる。詩人。作家。『苦海浄土――わが水俣病』が、文明の病としての水俣病を鎮魂の文学として描き出しとたして絶賛。73年マグサイサイ賞。86年西日本文化賞。93年『十六夜橋』で紫式部文学賞。01年度朝日賞。『はにかみの国――石牟礼道子全詩集』で02年度芸術選奨文部科学大臣賞。藤原書店より刊行されたものとして、『石牟礼道子・詩文コレクション』(全7巻)、初の自伝『葭の渚』、本作品撮影時の語りの全てを収めた単行本『花の億土へ』ほか著書多数。04年4月から刊行された、『石牟礼道子全集・不知火』(全17巻・別巻1)が14年5月に完結(藤原書店)。


【各界からのコメント】
久保田好生さん(東京・水俣病を告発する会)
大病から蘇った石牟礼さんは、生類や精霊に溢れていた前近代の視座から、現在を「絶滅と創生のせめぎあい」と見る。水俣病患者の持続的な闘いもこの映像の語りも、3.11後の我々には「花あかり」のような希望だ。

西舘好子さん(日本子守唄協会・理事長)
今、私たちは過去を敬うことも、未来に託す心も、現世にある命の架け橋の使命さえ自覚できなくなっている。そんな私たちに石牟礼さんの感性は「あなたの命は?」とぐさりと心臓に突き刺さるほど強烈で激しく問いかけてきた。見事な自然の影像と幻霊がこめられた音楽のなかでの、全てを甘受しながら人間の罪に容赦ない切れ味でせまる石牟礼さんの言葉に私はたじろぐ。まさに石牟礼ワールド、不思議な魂の浄化作用の凝縮だ。

岡田孝子さん(NPO法人 現代女性文化研究所)
水俣、不知火海の映像に石牟礼さんの語りが重なる。“毒”で痛めつけられながらも、なんて豊かな健気な自然なのだろう。しかし、これからの時代はどうなのか。自然との共生――石牟礼さんの思いを深く胸に刻みたい。

岩岡中正さん(熊本大学名誉教授)
水俣の紺碧の海の色と波音を背景に、切々と説く石牟礼さんの魂の声に深く打たれた。これは、水俣病に3・11の原発汚染を重ねつつ説く、犠牲と絶望を超える来世への花あかりの文学であり、一縷の希望の文学である。

ブルース・アレンさん(聖泉女子大学 文学部英語英文学科 教授)
『花の億土へ』は石牟礼道子の世界を幅広く理解するために不可欠な映画です。 生、死、自然、希望、祈り、文学、和解、過去,現在、将来――石牟礼さんは様々な角度からこの美しくも危機に瀕する世界の可能性について語ってくれます。

野田研一さん(立教大学大学院 異文化コミュニケーション研究科 教授)
痛みと悼みの感覚から発せられる石牟礼さんの声の世界
痛みと悼みの感覚から発せられる石牟礼さんの声。映像は、そのような声と語りのまなざす風景を引き寄せ、寄り添い続ける。不意によぎる鳥影、植物が抱き寄せる風、水の無窮動。静謐、そして微かに動くものたちの気配。


【お客様からのコメント】
●水俣病という病名くらいしか、正直知らなかった。石牟礼道子さんのつむぎ出す言葉で涙にあふれた。「祈る」――他人の人生を自分が背負うことはできないが、手を合わせ、温もりを届ける気持ちで、遠くまでつながるように、これからも祈りたい。

●水俣と福島原発、未だにずっと被害は続いているのに、一見、時間とともに記憶から次第に薄れてゆくように感じています。たくさんの人に観ていただきたい作品だと思いました。まずは知ることから身近に感じてほしいと思います。

●「赦す」こと、「チッソは自分である」、神様のこと……いろいろと深いお話でした。水俣病の人々の「赦す」という言葉がとても印象的でした。きれいな映像と石牟礼さんの言葉がマッチしていて、とても良かったです。

●“他者の苦しみへの責任”――他者の苦しみへの感度が3.11以後すこし高くなっている世の中だからこそ、いま石牟礼文学が求められているのではないかと思いました。

●映像がたいへん美しく、石牟礼さんの言葉やたたずまいが上品で可愛らしくユーモアがあり、人間のおかした過ち、罪、深い苦しみへの寄り添い、憎しみと許すこと、生類への愛情――私の心の中にある様々な想いを揺さぶられ、清められ、癒される気がしました。ありがとうございます。観に来て良かったです!!

●水俣病や福島の犠牲者の方々を自分の身代りだと思えたと同時に、いつ自分が同じ立場に立たされるか分からない恐怖を感じました。弱者という見方を改めたいと思います。

●このように美しく、哀しく、ほのかな希望を灯してくださる映像をありがとう!

●どうして何の罪もない人が、この世の苦しみを一身に背負わなくてはならないのだろう。「他人事ではなく自分の事に」と思う人が増えるように、と思います。原発の問題も、水俣病を始めとする問題も根っこは同じだと思います。美しい映像に石牟礼さんの声はとても落ち着いて、しっかり集中して観れました。幅広い年齢の方に観てほしい内容だと思いました。

●観たかった映画です。石牟礼さんの言葉と、水俣の海、島や木、空や雲の映像、それと音楽が、すべて語っているようでした。単なるインタビュー映画ではなく……ということで、とても感動いたしました。どうしたら本当に福島や東北の悲劇(というより、私たち日本の、地球の悲劇ですが)に向き合うことになるのか。映画、ありがとうございました。

●石牟礼さんの広い知識と視界と許しと覚悟が、まだまだ私には全てを理解することはできませんでしたが、観ることができてよかったです。全ては繋がっているのですね。水俣も原発も。これから世界はどうなっていくのでしょうか。

●弱者に対する石牟礼さんの温かい目と、鋭い感性に驚きです。

●とても美しい静かな映画でした。水俣の白黒写真は、まさにその時代・子供時代をすごした私にとって、あそこに移っていた子供は自分かもしれないと感じました。海・草・木・空、そこにある自然と人間を語られた石牟礼さんの昔の話、この世のあらゆるところに神さまがいるという思いを実感しました。静かな中にも、私たちが考えなければならない今の社会のあやうさを示されて、背中の伸びる思いです。何回でも観たい映画です。

●大変感動いたしました。「希望」を持っていいんだな、ということが分かり、日々とりまぎれて忘れていた多くの想いがよみがえり、姿勢を正しました。

●映画の冒頭に近いところで水俣の音の写真が挿入されていて、昔の生活を語る石牟礼さんの話と重なり、時代は違えど多くの人々に共感を与えられるのでは、と思う。石牟礼さんの眼の光が力強くて印象深く説得力があり、ぜひ世界の人にも見てもらいたいと思う。

●映像がとても美しい映画でした。石牟礼さんのことは、このドキュメンタリーではじめて知りました。大切なことだと思います。多くの方に、このような方がいらっしゃることを知ってほしいと思いました。

●映像の美しさを第一に感じた。この星の美しさを、朝露にぬれる名もない小花たちの薄灯りにとらえた言葉が印象的だった。

●石牟礼さんの『苦海浄土』はまだ幼いときに読んだが、水俣病を知ったきっかけで衝撃的な内容だった。その石牟礼さんの今を知ることができ、また作品の底にある思想を知れて良かったと思う。『苦海浄土』を読み直すとともに、その後の石牟礼さんの作品もぜひ読んでみたいと思えた。

●石牟礼さんの言葉は、一つ一つが身体中で聞く言葉ですね。私たちが、本当に大切にしなければいけないものを見せてくださったような気がします。水俣も福島もどちらも全く解決されていないのに、それを忘れようとする政府にあらためて怒りを感じました。

●何も解決していない水俣の地で、命の大切さを慈しみ尊び考え続けている石牟礼さんの姿勢に感動するばかりでした。

●私が(70歳)が若い頃、まさに水俣病の人たちとチッソとの闘争が繰り広げられている時期でした。心を痛めたのに、今はもう昔の事にしている自分に気づかされました。映画が進んでいく中、福島と同じだと感じながら観ていたら、やはりそのことが取り上げられていました。自然が破壊されていく、そして、人が人でなくなっていく恐ろしさを思わされました。石牟礼さんが、まだ光を見ていらっしゃることが嬉しく感じられました。いい映画でした。映像も、音楽も。

●石牟礼道子さんの世界がどこに根ざしているのか、映像と語りからとてもよく伝わってくる感動的な映画でした。「悶え神」という、困っている人・苦しんでいる人に寄り添う神というものが今こそ必要とされる時代なのではないか。フクシマもヒロシマもオキナワも、弱者に寄り添う心から出発したいと思う。

●きっぱりと訴え続けている。それは、何かとても大きな力を受けて、それに動かされるかのように続けられている、と感じました。自分の姿勢が問われる映画だと、強く感じました。

●観れて良かったです。ありがとうございます。水俣のことも、石牟礼さんのことも、ほとんど存じ上げず参加しましたが、ちゃんと知りたいと思いました。色々なところにある、悶え神の物語に耳を傾けられる人になりたいです。

●最初から最後まで息詰まる思いで拝見させていただきました。そんな中で、水俣のことを60年前という事実さえ今日初めて知りました。物事を知らないでいることは実に恐いものだと痛感しました。今後は特に「気づく」ことが重要かと思います。

●美しい映画をありがとうございました。福島の人、水俣の人が人柱となって、今の私たちがあると肝に命じました。祈ることは“寄り添うこと”とおっしゃられたことに感じ入り、祈ることなら自分にも、誰にでもできることだと思いました。

●水俣はまだ終わっていない。印象に残りました。色々なことの根源はみな通じている。日本の、世界の、人類の方向性、生き方のこと。


【石牟礼道子映像ライブラリー】
〈DVD〉「海霊の宮」
〈DVD〉「しゅうりりえんえん――水俣 魂のさけび」

【その他関連情報】
■2014年1月
 石牟礼道子『葭の渚 石牟礼道子自伝』刊行!
■2014年2月
 石牟礼道子『神々の村〈新版〉 「苦海浄土」第二部』刊行!
■2014年3月
 単行本『花の億土へ』刊行!
■2014年5月
 『石牟礼道子全集・不知火』(全17巻・別巻一)完結!
■2014年11月
 石牟礼道子『不知火おとめ 若き日の作品集1945-1947』刊行!
■2015年1月
 高銀・石牟礼道子『詩魂』刊行!