書評・紹介

死体について

週刊朝日 7/23号 「週刊図書館」欄 【荒川洋治氏】

 生き物全体の現場を見つめることで、そこに強くからだを入れることで、野間宏の小説は文学のスクリーンを拡大した。
 
 散文は、これまでよりも生きたものになることで、人を支えるものになる。それが野間宏の文学が見た夢なのだろう。異変と事件が膨張する現在、その夢は、現実以上に重みがあるものに感じられる。野間宏は、人がいま、心のなかで求める小説を書いた。『死体について』の生命はそこにある。

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