ピエール・ブルデュー

「超領域の人間学者、行動する世界的知識人」ピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu、1930-2002)

「構造主義」と「主体の哲学」の二項対立をのりこえる全く新しい諸概念を駆使して、人文・社会科学のほとんどあらゆる分野を股にかけた「超領域の人間学」者。
50年代末にアルジェリア大学で助手に就任以降、パリ大学助手、リール大学助教授を歴任。1964年には社会科学高等研究院の教授に就任、やがてコレージュ・ド・フランス教授の地位に就くが、ブルデューの業績はそれらの地位を超えて広く奥深い影響を及ぼしていく。社会学の共同研究はもちろん、自ら編集した雑誌『Actes』、自律的出版活動〈レゾン・ダジール〉、「ヨーロッパ社会運動協会」の組織などを通して、世界的な知識人として行動し、八面六臂の活躍を示す。
90年代以降は反グローバリゼーションの国際社会運動をリードし、グローバリゼーションやネオ・リベラリズムが、貧しく、恵まれない人々にもたらす不正義と損害に対する闘いを推進しており、その生涯は自由へのたたかいに捧げられた。ブルデューが提示した、拡大された「資本」概念(文化資本)、〈場=界〉(champ)、Pratique、Habitus等の諸概念による人文・社会科学への影響は日増しに深まるばかりであり、彼の巨大な知的営為は、膨大かつ広範な著作として結実している。